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抗ガン剤・放射線の副作用対策

がん患者さんの口腔ケア

口腔機能の低下は全身虚弱の原因にもなり、がん治療中の患者さんにとって体力低下、感染症のリスクを高めます。口腔機能を低下させないためには、口腔管理が重要になります。
名古屋のシャチホコ記念さん主催のがん哲学外来メディカル・カフェに参加してきました。(2019/11/27)

がん患者さんの口腔ケア


愛知学院大学歯学部附属病院の渡邉哲先生の「がん患者さんの口腔ケア」についてのお話は、とても勉強になりましたのでシェア致します。

渡邉先生は歯科口腔外科医であり摂食嚥下を専門にされています。

口腔機能の低下は全身虚弱の原因にもなり、がん治療中の患者さんにとって体力低下、感染症のリスクを高めます。口腔機能を低下させないためには、口腔管理が重要になります。


【口腔内の環境】

口腔内には、約400種類の細菌が存在する。唾液中より歯垢に多く、歯垢のほとんどが細菌で肺炎の起炎菌も存在している。


【歯垢の形成】

小さな細菌がくっついてマイクロコロニーを作る→マイクロコロニーをバイオフィルムという膜が覆う→バイオフィルムの中で細菌が繁殖し塊となったものが歯垢。

*歯垢は「プラーク」「バイオフィルム」とも呼ばれる。1gの歯垢の中には約1000億個以上の細菌がいるといわれている。

*歯垢の約75%が菌。約20%が菌が作り出した粘着物質(グルカンやフルクタンという多糖類)で、これが歯表面のネバネバの原因となる。この粘着物質は外部からの影響を受けなくするバリアーの役目をする。

*歯垢除去の基本はブラッシング。(歯槽膿漏予防のブラッシングに比べ肺炎予防のブラッシングは菌を取り除くことを目的とする)

*食直後の歯磨きは「脱灰(だっかい)」が進むので、食後しばらく時間(30分くらい)をおいてからの歯磨きがおすすめ。
(脱灰:歯の表面からミネラル分が溶けだす状態)


【がん治療と口腔環境】

◆放射線療法、化学療法

・一般的な副作用や毒性
放射線療法(口腔領域):皮膚炎、口内炎、咽頭炎、食道炎など(照射部位により異なる)・・・火傷に近い

化学療法:代謝(細胞分裂)のスピードが速い骨髄や粘膜などの正常細胞に副作用が出やすい
・・・白血球減少(好中球)、血小板および貧血を伴う骨髄抑制、  悪心・嘔吐および消化器症状、粘膜潰瘍、脱毛

・歯肉出血の悪循環
歯肉出血ー口腔衛生状態悪化ー歯肉炎悪化ー血液を栄養源として歯周病菌が増殖ー菌血症(血液の中に細菌が入る)・敗血症(感染症によって生命を脅かす臓器障害が現れる状態)

・口腔粘膜以外の副作用
化学療法
口腔感染症(歯性感染症を含む)、口腔カンジタ症、ヘルペス感染

放射線療法
唾液腺機能障害(口腔乾燥症)、放射線う蝕(虫歯)、放射線骨壊死(骨の中の血管が萎縮し血流不全になるため)

*がん治療前から口の中をきれいにし環境を良くしておくと治療を完遂しやすい。
(注:がん治療と口腔ケアの知識がない開業歯科医は対応できない場合がある)

*抜歯の問題
抜歯の傷が修復するには1~2ヶ月を要する。この間のがん治療には慎重な対応が求められる。この観点からも、日頃から良好な口腔環境にしておくことが望まれる。

*口腔内環境が悪い患者さんが、がん治療で白血球が減少すると感染症を発症し生命にかかわる事態になることもある。手術の場合、外科医が口腔内環境には気づかないこともある。

*歯周病
(歯肉を越えて広がり歯根膜や骨まで溶けている状態)
ひどい歯周病の場合、歯ブラシや噛むだけで菌血症になる場合がある。


◆手術、術後管理

誤嚥性肺炎、術後感染症も口腔内細菌が影響する。

がん患者さんの口腔ケア

食べ物の通り道と空気の通り道は交差している。(食道は気管の後ろ)
飲み込むときは喉仏が上がって気管の入口を塞ぐ。呼吸しながら飲み込みはできない。



がん患者さんの口腔ケア


手術の全身麻酔時に口から挿入するチューブを伝わって唾液が食道や気管に流れ込む。この時、口腔内が汚れていると細菌も一緒に流れ込む。

*胃がん患者を対象に、未介入時と口腔内清掃、嚥下トレーニングなどの介入時の「術後誤嚥性肺炎の発症率」「退院時経口摂取カロリー」「吻合部し開(傷口が開く)発症率」「術後在院日数」を比較したデータでは、いずれも介入時の成績が良かった。

*口腔内細菌は就寝中に増えるので、起床時の歯磨き(朝食前)がおすすめ(できれば、起床時、毎食後、就寝前の1日5回の歯磨きが誤嚥性肺炎、感染症予防にはおすすめ)

*液体洗口剤
論文はないが効果は期待できる。アルコールが含まれていると殺菌作用があるが、口の中の水分が少なく渇く人はアルコールの揮発で口渇が加重することも。


◆オーラルフレイル(口の虚弱)

オーラルフレイル→口腔機能低下症→フレイル(全身の虚弱)→寝たきり

医師会では「フレイルの段階で見つけて対処しましょう」と呼びかけている。歯科医師会としては、フレイルの前段階である口腔機能低下症の段階で見つけることを目標にしている。

・オーラルフレイル(地域保健事業・介護予防事業による対応)
滑舌低下、わずかのむせ・食べこぼし、噛めない食品増加

・口腔機能低下症(歯科診療所での対応)
口腔衛生状態不良、口腔乾燥、咬合力低下、舌・口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下

・口腔機能障害(専門的な対応)
摂食嚥下障害、咀嚼機能不全


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嚥下機能を測定する「嚥下スクリーニングツール」


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当日提供された嚥下訓練体操の資料

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参考用イラスト

*嚥下訓練体操については、専門家の指導を受けてから行うことをお勧めします。



◆愛知学院大学歯学部附属病院の公式サイトはこちら!


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シャチホコ記念カフェ 代表の彦田かな子さん(右)



【編集長感想】

口から飲食物を飲み込み腸管を使って栄養を摂取することは、全身状態を良好に維持し感染症を予防する基本的な生命活動になります。適切な栄養管理を有効にするためにも、口の中の環境を良くしておくことの重要性を学ぶことができました。臨床現場での啓蒙および指導が普及することを願います。同時に、患者側も自己管理したいものです。







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