
重い肝臓疾患(肝硬変)やガン性腹膜炎によって発生した難治性腹水は、お腹の張り(腹部膨満感)、食欲不振、呼吸苦など患者さんのQOLを低下させます。一般には腹部ドレナージによって「水抜き」をしますが、一時的な措置で再度腹水が溜まるケースがほとんどです。
腹水は体液が漏れている状態なので、そのなかには体にとって必要な栄養成分も含まれます。腹水のため食べることができなくなり、かつ体液とともにアルブミンやグロブリンなどの栄養成分を喪失すると、全身の栄養状態、免疫状態が悪化してしまいます。
腹水濾過濃縮再静注法(CART)は、溜まった腹水を取り出し、濾過器で細菌やガン細胞等を除去した後、さらに濃縮器で除水を行い、アルブミンやグロブリン等を回収し、再び点滴で患者さんの体内に戻す治療法です。
腹水濾過濃縮再静注法(CART)は1980年代に保険適用になっていますが、さほど普及していません。その理由として、忙しい医療機関では手間がかかり、治療行為を優先させるためこのような緩和的措置まで手が回らない現状があるようです。
しかしようやく2009年7月に第一回CART研究会が開催され、今後全国に普及していこうという機運が高まっています。実施医療機関の報告によると、ほぼ全例で腹部膨満感の減少、食欲の改善、呼吸苦の軽減がみられています。
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