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再発・転移・進行・末期のガン対策

ガン体験者との対談

能瀬英介さん スキルス胃がんステージ3bから12年

「行動習慣で楽しい人生を~がんと明るく向き合う生き方」
いずみの会定例講演会ダイジェスト 
2022年6月 尾張一宮駅iビル 大会議室にて

みなさん、こんにちは。

石川県の加賀市から来ました能瀬英介です。1954年生まれ、68歳になりました。がんを患ったのは12年前です。設立から32年という歴史ある「いずみの会」の皆さまにはどれほどお役に立つかわかりませんが、一緒に学ばせていただければと思います。

私は菓子用の箱を製作する会社を経営しています。仕事も社員も家庭も、常日頃から「楽しい」を意識しています。今日も「楽しい」をテーマにお話しさせていただきます。


能瀬英介さん スキルス胃がんステージ3bから12年
能瀬さんは発病前と変わらず会社経営に携わっています



◆「感情」はコントロールしにくいが、「行動」はコントロールしやすい◆

私たち人間は、「感情」をコントロールするのはなかなか難しいですね。見るもの聞くものに反応して喜怒哀楽の感情を持ちますが、それらはコントロールしにくいものです。しかし、「行動」はコントロールできます。

例えば、月水金がゴミ出しの日とします。月曜日にザーザー雨が降っていて雨に濡れるのがイヤだという感情に従うと、今日はやめて水曜日に先送りしようとなるかもしれません。一方、月水金にゴミを出すという行動を決めていれば雨が降っていてもめげないでゴミの収集場所まで持って行きます。

こんな小さな行動の積み重ねでも毎日の生活は豊かになっていく。「決めた行動はやる!」を続けることでいろんなことが開かれていくと思います。行動を習慣にすることについては後ほどお話したいと思います。


◆スキルス胃がん 11箇所のリンパに転移◆

胃がん発覚前の私は、とりたてて体調の悪さはありませんでした。ただ、糖尿病を持っていました。全国のお菓子屋さんのパッケージを作っている仕事の関係で、お菓子の試食をする機会が多かったからかもしれません。当時の体重は80kgでした。定期的に通院していましたが、薬嫌いで飲んでいませんでした。

ちょっとした成り行きで胃カメラ検査をすることになりました。すると、あっさり「胃がん」と告げられました。私はがんの告知場面に厳粛なイメージを持っていたのですが、ドクターはパソコンの画面に向いたまま、私の顔を見ることもなく病名を告げたのです。すぐさま手術日の話になりましたが、私はがんよりも告知の仕方に納得がいかず、いったん家に持ち帰って検討すると言い、病院を後にしました。

人生初めてのがんに直面し、果たして切除が最良の方法なのか?という疑念もありましたが、手術に院長が立ち会うと聞いて受けることにしました。人間は肩書きや権威で信じる気持ちになるものだなと思いました。

3時間ほどのごく一般的な手術ですから、安心して臨んでくださいということでした。それでも能瀬家にとっては初めてのがん患者。手術当日は妻と4人の子ども、私の姉妹2人が病院に全員集合しました。久しぶりに親族が顔を合わせ、待合室は和やかな雰囲気だったようです。途中、妻と長男がドクターに呼ばれ、開腹してみたらリンパに転移があるので術式や所要時間の変更を告げられました。それを知った身内の顔色が暗くなったと、後々聞かされました。

5時間の手術を終え、主治医が「能瀬さん、リンパに11箇所転移があり見える所は取りました」と話してくれました。「見えない所は取ってないのですか?」と私が尋ねると、「見えてないので取れません」と当たり前といえば当たり前の答え。そこでスキルス性の胃がんであることも知り、この後はどうなるのか?質問したら、年齢的に(当時57歳)かなりの確率で再発転移があるということでした。それを踏まえ、抗がん剤治療を提案されました。知識のない私は、受けるしかないなと思いました。

抗がん剤治療のプロトコルは24時間点滴での持続注入を4日連続(金曜~月曜)で行います。主治医からは副作用が車の運転の支障になるので、自家用車では来ないように言われました。でも面倒な事もあって自分で運転して通院していました。たしかに治療を終えた月曜日は頭がぼーっとし、気分がすぐれません。4回目の時に、赤信号で交差点を突っ切ってしまいました。幸いにも両側から車が来ていなかったので事故にはなりませんでした。


◆代替策を模索する◆


こんなことではダメだなと思い、次の診察で主治医に、「この治療でどのくらい再発転移が防げるのですか?」と尋ねました。すると、20%~30%という返事でした。80~90%効果があるなら辛い治療も耐えられますが、その程度の効果でやる意味があるのか・・・? とはいえ、経営者としての責任はあるし、子どもにも負担をかける。何とか策を講じなければいけない。その足で情報収集のため、本屋さんに行きました。抗がん剤をやらないなら、きちっとしたやらない論拠がないと家族も納得しないだろう。15~6冊のがんに関する本を読んだ中で、東京の 八王子で開業されているドクターの考え方に賛同できました。早速、診察を受けに出向きました。3時間ほどがんという病気のこと、それにどう向き合っていくかなど真剣に話してくれました。通常の病院のドクターとは異なる対応に信頼感を持ちました。

そのクリニックには3年ほど通いました。免疫が働く生活習慣として肉食をやめました。食生活は人によってちがいます。肉食で元気な高齢者もいますので、あくまでも私の場合はフィットしたということです。糖尿でしたし、がんになる前の体重は80kgありました。術後13kg痩せましたが食生活を変えてさらに5kg減りました。痩せ過ぎかなと思いましたが体調は良かったし、糖尿の数値も改善しました。ドクターは肉を出汁にしたスープも禁止という指導でしたが、私は自己判断でそれはOKにしました。現在の体重は66~67kgで安定しています。

ただ、肉を食べなくなって愛想のない夕食が物足りなく感じます。その頃、私は事情があって長年お酒を断っていました。出張の際、東京の音楽大学に在籍している娘と食事をしたとき、24年ぶりにお酒を口にしました。久しぶりすぎて頭がぐるぐるしました。がんになって飲酒、喫煙をやめた話はたくさん聞きますが、私はがんになって飲酒を再開しました。(笑)

ただこの食習慣だけで、がんと共に生きていけるとは思いませんでした。


能瀬英介さん スキルス胃がんステージ3bから12年
講演で能瀬さんが紹介された本



◆がんのことを知り、自分と向き合う◆

今だから言えるのかもしれませんが、がんは怖いものではありません。がんになって良かったと心底思っています。なぜ自分ががんになったのか?はあまり考えませんでした。手術は怖いと思いましたが、痛みのコントロールも進歩しています。

がんとは何だろう?と考えたとき、谷川先生の本が参考になります。がんを怖いと思うから怖い。もちろん、がんと診断されて心穏やかな人はいないでしょう。個人的にお会いしたがん患者さんには、決して怖いものではないことをお伝えしています。不治の病というイメージや死因にがんと記載されるので、「がん=死=怖い」と捉えがちです。しかし実際には、がんが直接的な死因になることは少ないのです。呼吸不全や内臓機能不全、感染症で亡くなります。がんと診断されてもすぐ死ぬわけではない。まずその事実を理解する必要があります。

がん細胞は遺伝子のコピーミスから生じます。つまり体外から侵入した異物ではなく、私たちの生命活動を支えている正規の細胞のコピーミスでできた細胞が塊を形成したものです。できた場所によって正常な活動の妨げになることはあっても、がん細胞自体がウイルスのような害を為すものではありません。ですから、がんと診断されても、まずしっかり受け止めて、自分なりの考えを持つことが大切だと思います。

がんの闘病生活を苦にする方もいらっしゃいますが、私はがんを治そう、がんを克服しようという感じではありませんでした。もともと自分の体にある細胞のコピーミスなら、生きている限り全くがんができないようにするのは不可能です。ならば、がんになって死を意識することで、人生をリセットするチャンスになるのです。

私の場合は57歳でがんになって肉食をやめ、お酒を飲み出した。この先、健康に生きて抜いて行くにはどうしたらいいだろう? 若い頃から勉強会やセミナーに頻繁に参加していましたが、50歳を過ぎてから足が遠のいていました。それをまた復活させました。おもに私よりぐっと下の年代の方が多く参加している脳力開発や自己啓発系のセミナーです。私は、今まで自分が蓄積してきたリソースだけでなく、新たな出会いや知識がこれからの人生に必要だと思ったのです。

それから、躊躇することがなくなりました。すぐは死なないにしても、再発するかもしれないし、1年後、2年後はどうなっているかわからない。だったら生きているうちに、やりたいこと、できること、やってみようと足が一歩出やすくなりました。自分で予想していたのと異なる人生を味わえるかもしれない。がんは第2の人生を私に与えてくれたのです。


◆“生きるネタ”を探した◆

ここからは、私がやりたいことを、どうやっていったかをお話します。

「継続」 
「気づき」 
「感謝」
この3つがキーワードになりますので、覚えておいてください。

昔の話で、豊臣秀吉に仕えた曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)という人物がいます。曽呂利新左衛門が手柄を立てた際に、褒美として何が欲しいか秀吉が尋ねました。すると新左衛門は、「1日目は米1粒、2日目は2粒、3日目は4粒、次の日は8粒・・と前の日の2倍の米粒を次の日にというようにして51日間だけください」と答えました。現代風に米1粒を1円としてみましょう。この計算ですと、10日経っても500円程度です。グラフにしてみると、1日目から25日目くらいまでは、ほとんど変わりません。ところが、25日過ぎると急激に上がり、30日になると5億3600万円ほどになります。


能瀬英介さん スキルス胃がんステージ3bから12年
曽呂利新左衛門の計算表



ビジネスでも、スポーツでも、がん治しでも、同じじゃないかと思います。世の中の成功者は、たとえすぐ成果が出なくても、自分の道を信じて続けていく。でも継続すると、ある時点を過ぎた所で大きな変化が現われてくるのです。私のがん治しもこの教訓にのっとって、すぐに光が見えなくても続けました。

その学びに基づき、私は残された人生を悔いなく生きるため“生きるネタ”を探しました。先ほどお話したがんとは直接関係ない各種セミナーに参加したのもそれが理由です。

行動習慣ナビゲーター
アクティブブレインセミナー
易経セミナー
TCC講座
志ネットワーク(松下政経塾)
日本を美しくする会(掃除に学ぶ会)
忘れない 3.11
いのちのフォーラム(主催)


◆登山とサックス演奏◆

術後しばらく、私はおにぎり1個食べるのがやっとでした。一度にたくさん食べられないのは胃を3/4切除したので当然です。ある日、登山を始めた妹夫婦から登山グッズ一式が送られてきました。体力的にどうかなと心配しましたが、家内共々誘いにのってみました。最初に行ったのが上高地です。その時はおにぎりを2個食べることができました。運動と環境のお陰か、痞えることなく食べることができました。

がんを告知されて手に取った本のなかに、岡山の伊丹先生(生きがい療法)が、がん患者とモンブラン登頂をした話が載っていました。それを読んで、私もモンブラン登頂を目標の一つにして生きることにしました。2014年の夏に3842m地点まで、モンブランをアタックしました。天候諸々の条件で、登頂はしておりません。その地点から頂上を眺めました。(笑) これも夢として描くだけでなく実際に現地まで行ったのは、がんになったからこそだと思います。

もう一つは、サックス演奏です。若い頃から音楽好きで、東京のライブハウスに二十数年通っていたことがありました。東京出張の折にライブハウスに寄ったところ、格好いいサックス奏者に出会いました。演奏の合間に、「サックスを吹いてみたいんだけど、どうしたら習えますか?」と尋ねると、レッスンしてくれることになり、翌日カラオケルームで1時間教えてもらいました。彼からサックスを購入し、出張に合わせて週1回のペースでレッスンを受けました。これもがんになっていなかったら、ライブハウスでの演奏を聴くだけで終わっていたでしょう。折角だから目標を作って練習しようということになり、銀座で還暦ライブを計画しました。そしてなんと、家族や友人、仕事関係など100人の前で音大に通ってホルンを吹いている娘とセッションを披露することができました。


◆なんとなくいい気分で行動習慣◆


ここ8年くらいは、医療機関での治療は一切していません。その代わり自分で自分の体をケアしようと考え、自分なりの行動を習慣にしています。

朝は4時半に起きて1時間弱のルーティンを行います。実際に具体的な効果があるかないかより、これらを続けることで体の細胞がコピーエラーのない正常な新陳代謝をすると信じながらやっています。


能瀬英介さん スキルス胃がんステージ3bから12年

*能瀬さんは17のルーティンを日課にしています。
そのなかから4つをご紹介します。

・鏡を見て笑顔で「今日もがんばるぞ!」と自分に声を掛ける
・先祖に手を合わせ「今日も目覚めた」ことに感謝する
・トイレで「循環してくれてありがとう」と口に出す
・入浴時(1日2回)爪もみ(手足20指×10「なんとなくいいきぶん」×2×2/日)




冒頭にお話したように、感情のコントロールは難しいですが、行動はコントロールできます。私のルーティンは、お金も時間もかからないので、やるか、やらないか、だけです。

明るく元気に「何となくイイ気分」で1日をスタートしましょう。

ご清聴ありがとうございました。


能瀬英介さん スキルス胃がんステージ3bから12年




【編集長感想】

能瀬さんのルーティンはすでに無意識(潜在意識)レベルにインプットされています。ここまでになると強力です。曽呂利新左衛門の逸話の日数ではないですが、3~4週間で新たな習慣は身に付きます。

そして感心したのは、紹介した4つのルーティンのように“言葉”を紐付けていること。これが意識の習慣化になり感情のコントロールにつながります。

もしルーティンを行動習慣にしても、そこに嫌な気分の意識が紐付けされていたら、健康のための行動をしながら脳や体はストレス系(苦痛系)になってしまいます。これでは効果が出ませんよね。

ご機嫌な気持ちでやる行動習慣にしましょう!


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