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ガン対談

要町病院 腹水治療センター長 松崎圭祐先生

KM-CART(腹水濾過濃縮再静注法 改良型)で、腹水は『抜いたら弱る』から『抜いたら元気になる』へ!!
2012年3月 東京豊島区の要町病院にて

ガンの医療現場では徐々にではあるものの、患者さんの身体に負担のかかる標準的なガン治療だけでなく、QOL(生活の質)を改善するケア(緩和的措置、緩和医療)にも目を向ける動向にあります。患者さんにとって辛く苦しい諸症状・・・肉体的苦痛、精神的苦痛、治療の副作用など・・・を和らげることは、治療への意欲を回復し、日常の生活を楽しむことに貢献します。

しかしながらガンに伴う症状として患者さんを苦しめる「腹水」については、これまで有効な手段がありませんでした。この現状を打破するため日夜奮闘されているのが要町病院 腹水治療センター長 松崎圭祐先生です。松崎先生は、従来の「腹水濾過濃縮再静注法(CART)」改良した「KM-CART」を開発されました。(2008年特許申請)「KM-CART」の取り組みと今後の可能性についてお話を伺いました。

KM-CART(腹水濾過濃縮再静注法 改良型)
東京豊島区の要町病院


◆なぜ腹水濾過濃縮再静注法は普及しなかったのか?◆

小澤
(松崎先生の院内携帯電話に次々とコールが入る)非常にお忙しいところお時間頂き恐縮です。

松崎先生
いえいえ、バタバタしていて申し訳ない。

小澤
まず腹水濾過濃縮再静注法(CART)について教えて頂けますか?

松崎先生
肝硬変(肝性)やガン性腹膜炎によって腹腔に多量の体液が溜まってしまうのが腹水です。CARTは、水分・塩分制限、利尿薬などで改善しない難治性腹水症が適応です。

小澤
腹水でお困りの方は少なくありませんが、医療機関でCARTについての情報に触れる機会はあまりないようです。

松崎先生
CARTは1981年に保険適応として認可された腹水の治療法です。しかし医療現場では腹腔穿刺による水抜きが第一選択です。(腹腔内に管を入れて水を抜く腹水ドレナージ。抜いた水は廃棄する) 

小澤
はい、腹水ドレナージ以外はあまり聞き及びません。

松崎先生
しかしたんに腹水を抜くだけの処置には限界があります。大量の腹水を抜いた後には、急性循環不全(腎不全やショック)などのリスクがあります。また腹水というのはすべて「体に悪い水」ではありません。腹水の中にはガン細胞や細菌などと共に、体に必要なアルブミンやグロブリンというタンパク質が混じっています。少量でも腹水を繰り返し抜くと、これら貴重な栄養や免疫物質であるタンパク成分が失われ(血漿蛋白濃度低下)、急速に体力が低下し全身状態が悪化するだけでなく、さらに腹水が溜まりやすくなるという悪循環を招きます。

小澤
だから腹水を抜くのを躊躇するケースが多いのですね。

松崎先生
「腹水は抜くと弱る」といわれる所以です。これに対し腹水濾過濃縮再静注法は、抜いた腹水から細胞成分(ガン細胞、細菌、血球など)を除去(濾過)し、さらに余分な水分や電解質を除き(濃縮)、体には必要とされるタンパク成分(アルブミン、グロブリン)を回収して患者さんの血管内に戻す方法です。

小澤
腹水で苦しい思いをされている患者さんにとっては、ありがたい方法ですね。しかしほとんど普及していないのはなぜですか?

松崎先生
ガンの腹水には使えなかったのですよ。肝性腹水には対応できたが、ガンの腹水は濾過技術的に使えなかった。その理由は主に3つです。
①回路と操作が複雑で臨床工学技士の立ち会いが必要。
②細胞や粘液成分の多いガン性腹水では、1~2リットル前後で濾過膜が詰まってしまい、それ以上の腹水処理ができない。
③専用のローラーポンプで管状の膜に押し込み濾過するので、腹水中の白血球に過度な刺激がかかり、そのためインターロイキンなどの炎症物質が増加してしまい濃縮液を血管内に戻すと高熱が出る。

小澤
理論は素晴らしいが実用は難しかったということですね。

松崎先生
そのため細胞成分が少なく粘液などを含まない肝性腹水(肝硬変に伴う)に対してのみ、ごく一部の医療機関でほそぼそと実施されてきました。

KM-CART(腹水濾過濃縮再静注法 改良型)
KM-CARTを考案した腹水治療センター長 松崎圭祐先生


◆CARTの改良によって難治性腹水治療に光明!◆

小澤
使い勝手が悪かったCARTをどうして松崎先生が改良することになったのですか?

松崎先生
私が医者になって間もなく高知に里帰りした際、母親が卵巣ガンによる腹水を発症していました。父親ひとりに看病させるわけにいかず、在籍していた広島大学から地元の高知医大の心臓・一般外科に入局しました。

小澤
松崎先生はもともと心臓外科医を目指していらした?

松崎先生
いえ、消化器外科を専門にしようと思っていました。しかし面白いもので、心臓外科で学んだことがCARTの改良にとても役立ちました。

小澤
といいますと?

松崎先生
心臓外科で与えられた学位論文のテーマが「体外循環と濾過膜」だったのです。このテーマでドイツに行って学会発表もしました。腹水を抜く場合に欠かせない循環血液量の管理、濾過膜やポンプについての知識など心臓外科での経験が後に活きることになりました。私は「膜のプロフェッショナル」です。(笑)

小澤
では心臓外科から本来の希望であった消化器外科に移られて「膜のプロフェッショナル」の出番となったわけですね。(笑)

松崎先生
消化器外科に移ってガン患者さんの腹水を抜いて捨てたら体が弱っていく。腹水を捨てるのはもったいないので、どうにかできないかと思案していたら、腹水濾過濃縮再静注法というのがある。でもやってみると2リットル足らずで詰まってしまう。

小澤
それで従来のCART装置の改良に乗り出したのですね。

松崎先生
どの病院でも簡単に処理できるようにすることが普及のためには重要です。濾過膜に詳しいメーカーさんとは顔馴染みでもありましたから、思考錯誤を繰り返しながら装置・回路・操作をシンプルにしました。

*主な改良点は次のとおり
①濾過膜を内圧方式(管の内から外へ濾過)から外圧方式(管の外から内へ濾過)に変更。
②濾過膜の目詰まりを簡単に回復させる膜洗浄機能を追加。
③一般的な輸液ポンプと吸引器も利用できるようにし、従来の大掛かりな専用ローラーポンプを不要にした。

KM-CART(腹水濾過濃縮再静注法 改良型)
濾過方式を外圧にして大幅に処理時間が短縮された

KM-CART(腹水濾過濃縮再静注法 改良型)
装置と仕組みもシンプルに改良したので、一般の病院でも設置・操作がしやすくなった

小澤
従来の腹水濾過濃縮再静注法を改良したKM-CARTは、普及を妨げていたことをクリアできたのですか?

松崎先生
装置の構造がシンプルになったことで操作が簡単になりました。何よりも処理時間が短縮されました。濾過膜の洗浄が簡単になったので1回で15リットルの腹水を処理できます。処理時間も以前は1リットルに30分から1時間くらいかかっていましたが、改良型は約9分です。またローラーポンプで腹水をしごいて濾過膜に押し込むことがなくなったので、ガン細胞や白血球などへの機械的ストレスが大幅に減少。炎症物質の産生が少なくなったので、従来型では必発していた発熱が頻度・程度ともに軽減できました。

小澤
素晴らしいですね。難治性腹水で困っている方には朗報です。どのような腹水の方にも適応できるのですか?

松崎先生
膿汁の混じった感染性の腹水、腹水中に多量のエンドトキシンが検出された場合、血中ビリルビン値が高い場合(高度の黄疸)などは不適応です。また卵巣ガンに多いゼリー状の腹水も濾過処理ができない場合があります。いずれも担当医師にご相談ください。


◆腹水を抜くことが患者さんのメリットになる◆

小澤
抜いた腹水の利用法はアルブミンやグロブリンだけではないようですね?

松崎先生
改良型であるKM-CARTでは、ガン細胞やリンパ球も良い状態で回収できます。これらを使って抗ガン剤の感受性試験や免疫細胞療法(特に樹状細胞ワクチン療法)への応用も視野に入れています。また胃ガンや卵巣ガンの癌性腹膜炎に対する腹腔内化学療法に際し、腹水を全量抜いて腹水濾過濃縮再静注法を施すことで患者さんの栄養・免疫状態を維持できるとともに、抗ガン剤濃度も希釈されることなく維持できることから化学療法の効果増強も期待できます。

小澤
オーダーメイド治療の選択肢が増えることになりますね。

松崎先生
緩和医療の面からすれば、患者さんの苦痛をいち早く和らげることができます。全身状態の悪化を遅らせることも可能です。在宅でもできるようにしていきたいですね。

小澤
KM-CARTは患者さんの負担、医療者側の負担とも大幅に軽減されました。まだ実施医療機関が少ないようですが、今後の普及の見通しはどうなのでしょう?

松崎先生
現状は当院で研修をされた医療機関のみ設置施行されています。2009年にCART研究会を設立し医療機関相互で連携するとともに、今後多くの医療機関で導入できるよう活動していきたいと思っています。数年後には日本全国どこの医療機関でもこの治療が受けられるようになり、腹水は『抜いたら弱る!』から『抜いたら元気になる!』が医療界の常識となることを目指しています。そうなれば、この世から腹水で苦しむ患者さんがいなくなるでしょう。

小澤
松崎先生の今後のご活躍、そしてKM-CARTが早く普及することを願っております。今日はご協力ありがとうございました。


KM-CART(腹水濾過濃縮再静注法 改良型)
松崎先生はCART研究会を立ち上げて普及にも尽力されています



【編集長感想】

厄介もの扱いされていた腹水のなかにお宝がいっぱいある。しかもアルブミンやグロブリンという栄養物質、免疫物質だけでなく、腹水の中にあるガン細胞などその患者さんの最新のガン情報が得られることで、積極的な治療を展開できる可能性が秘められています。実際に9リットルもの腹水をTM-CARTで処理した4日後にゴルフを楽しんだ患者さんの例もあります。

腹水は患者さん本人にとって肉体的、精神的苦痛です。また身近なご家族にとってもつらいことです。腹水を抜くだけでなく、腹水に含まれる貴重な物質を再利用できることで心身とも元気になれるのは、患者さんとご家族にとって大きな支えになりますね。


◆要町病院 腹水治療センターの情報はこちら!

◆CART研究会のホームページはこちら!




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