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ガン対談

彦根市立病院緩和ケア科部長 黒丸尊治先生

「がんと心の治癒力~がん自然寛解から学ぶ」
ガン患者会 NPO法人 いずみの会定例講演会より一部を書き起こし編集(2018年8月4日)

黒丸尊治先生 「がんと心の治癒力~がん自然寛解から学ぶ」
猛暑の中、60名以上のご参加



◆「心と体の繋がり」に関心があって心療内科医になった◆


みなさん、こんにちは。彦根市立病院緩和ケア科の黒丸です。心療内科医ですが、現在は緩和ケア科に所属しています。

緩和ケアをお好きな人は、あまりいないと思います。(笑) 緩和ケア病棟は8階にあるのですが、外来では患者さん同士で、「あそこに入ったらお終いだね」とヒソヒソ話しています。(笑)

確かに、容体の悪い患者さんが来られるので、ほとんどの患者さんはお亡くなりになります。しかし、1割くらいの人が戻られます。なかには、長期に生存される人もいらっしゃいます。

50代男性で、手術ができない脳腫瘍の患者さんがいました。入院されて、放射線、化学療法をやりましたが、もうこれ以上治療はできないという判断になり、緩和ケア科に来られました。治療にあたった主治医は、余命3ヶ月と見立てていたようです。徐々にしゃべれなくなり、僕もそんなところ(3ヶ月)かなという感じを持っていました。

ご両親が熱心に毎日お見舞いに来て、朝から夕方まで傍におられました。奥さんは、たま~に来ていたようです。(笑) ところが、半年経った頃からだんだんしゃべれるようになってきた。冗談も言うようになり、状態が良くなってきました。ご両親が喜んで、CTを撮って調べてほしいと言われました。この時は、せっかく体調がいいのに、画像を見て落胆するのもよくないから、このまま様子を見ましょうと、撮りませんでした。緩和に来てから1年後、車椅子で外出できるようになり、音楽がお好きだということでコンサートにも出かけられました。ここまでの状態ならと、CTを撮ってみることにしました。すると、元の腫瘍が小さくなっていました。ただ、別のところに新たな病変も見られました。結局この患者さんは、緩和病棟で最期まで入院生活を楽しみながら2年過ごされました。

(中略)

研修医時代は外科、内科、小児科など一通り経験しました。その研修医の時に、肝臓がんの男性で、3ヶ月ほどでがんが画像に映らなくなった人がいました。奥さんに、この数ヶ月で何か変わったことがなかったか尋ねたところ、「何もしていません。普段とまったく変わらない生活です」という答えでした。ただ、お孫さんが生まれることがわかって、頑固だった性格が穏やかになり、産まれてくる孫にしてあげたいことをあれこれ準備するようになったそうです。これはあくまで仮説でしかありませんが、心の変化が肝臓の腫瘍を消したのではないかと推測しました。

末期のがんでもまれに治癒する人がいる。私は、心と体の繋がりに関心があり、そういう人は心が治癒に関わっているだろうと漠然と思いました。

そして、もう一つ関心を持っていたことが、がんの自然治癒です。がんが自然に消えてしまった。それは普通、(医学)常識ではあり得ないとされていることです。そのような事態に対し、医者は診断の間違いではないかと疑います。また、自然治癒をまともに研究しようとするおかしな医者も、あまりいません。(笑) がんの自然治癒の研究をする医者は、まともじゃない医者です。(笑) 心療内科医は、心と体の繋がりという視点で人体や病気を診ますので、自然治癒というテーマに違和感なく興味を持ちます。

そんな経緯で、心療内科を専門とすることにしました。それで1年間、九州大学の心療内科(池見酉次郎先生が日本の心身医療の礎を築いた)に入局しました。
*池見酉次郎、中川俊二両医師は、「がんの自然退縮の研究」を論文発表されている

中川先生は、心身医学会に全国で集めたがんの自然治癒症例を毎回報告していました。最後の報告で、80何例目かに達していました。

黒丸尊治先生
見た目どおり優しい語り口の黒丸先生



◆「良い思い込み」は、ときに薬以上の力を発揮する◆


次に、京都の音羽病院で十数年、心療内科に勤務しました。心療内科は、心身症といわれるストレス疾患の患者さんが多いのですが、がん患者さんの要望もあって、がん患者さんを対象にしたグループ療法に携わりました。そのなかで、がんが自然寛解した人に体験談を語ってもらい、参加者でシェアする会を企画しました。何回かやったのですが、中止しました。僕は、よくなった人の体験談を聴いた参加者が希望を持ち、より前向きになると思っていました。

ある進行性の卵巣がんの女性は、手術は受けるが術後の化学療法はしないと主治医に申し出ました。化学療法をやらないと3ヶ月の余命、と説得されても頑なに拒否して、自分の意思を汲んでくれる東京の病院で手術を受けてきました。その女性は、帽子製造の仕事をしていました。注文を受けていた帽子を、命のある限り作りたい。ご本人が覚悟を持ってされた選択なので、その決断を尊重することにしました。3ヶ月経ち、半年経ち、1年経ち・・・溜まっていた腹水が減ってきて2年経過しました。そこで検査したところ、ガンは消えていました。それから10年ほど経った頃、グループ療法の会で話をしてもらいました。

その話を聴いた参加者は、「あの人と自分はちがう」「あの人は治った。でも、自分にはそんな風にはできない」「自分はやっぱり死んでもいいなんて思えない」という感想でした。その時、僕は理想論に走りすぎたかなと反省しました。何事にも前向きに、積極的にというのは、必ずしも誰もができることではない。治療真っ最中の人は、そう思えない人もいる。そういうタイプの人には、負担になってしまうことが解りました。(注1)

そんなこともありましたが、心療内科の心身症の患者さんや、がんの患者さんと接してきた経験から僕が思うのは、「心には治癒力がある」ということです。皆さん、「自然治癒力」という言葉をご存知ですよね。人間には、自分で自分を治す力があります。ちょっと風邪を引いても、体調が悪くても、休養で治ることがあります。免疫系、ホルモン系、自律神経系が、異物を排除したり、調整したりしてくれます。これらは、いずれも体が持っている治癒力、回復力です。

僕はずっと心療内科をやってきて、薬で治すよりコミュニケーションによって治すことを信条としています。患者さんの思い込み、信念、考え方、希望や可能性に目を向ける・・・など、患者さんの心が変わると体に現れる症状も変わってきます。心には大きな力があって、心にも治癒力がある。

心と体は繋がっています。心が変わることで、体が持つ免疫系、ホルモン系、自律神経系に良い影響を及ぼして、がんの縮小が起こるかもしれない。お孫さんの誕生を心待ちにした肝臓がんの男性にも、そういうことが起こったのかもしれません。

心療内科では、心の治癒力は当たり前という認識を持っていますが、皆さん、「プラシーボ」ってご存知ですか? たとえば、痛みがある人に、鎮痛効果の成分が入っていない偽薬を「痛み止めですよ」と言って飲んでもらうと、半数近くの人の痛みが軽減します。これが「プラシーボ効果」と呼ばれるもので、医療の世界でも認められています。安心感や期待感で、症状が和らぐという仕組みがあります。不安感を訴える患者さんが安定剤を飲むと、5分から10分くらいで楽になってくる人がいます。でも、薬理作用的には30分くらいしないと効かないはずなのです。これは、薬を飲んだという安心感で楽になるのです。

心の治癒力は、人によって強力に働くこともあります。気管支喘息という疾患がありますが、気管支が収縮してゼーゼーなります。治療としては、気管支を拡張する薬を吸入します。その気管支喘息を対象にした研究があります。2つのグループに分け、発作時にひとつのグループには気管支拡張剤、別のグループには気管支収縮剤を投与します。患者さんは、どちらの薬かわかりません。拡張剤を使ったグループは9割方症状が良くなるものの、1割の人は悪くなりました。一方、収縮剤のグループは9割の人が悪くなるものの、5~10%の人が良くなった。いずれも、薬の作用的には不可思議な反応が1割ぐらいの人に起きている。

つまり、「良い思い込み」は、ときに薬以上の力を発揮するということです。


◆心の治癒力を最大限活用しよう!◆

緩和を担当してから、約2000人の患者さんを診てきましたが、うち10人ほどに予想を遙かに超える改善が見られました。緩和に来られる人ですから、末期や終末期ばかりなので、そのような状態からでも回復する力があるということです。

いくつか症例をご紹介します。

肝臓がんの70代男性です。マーカーの値が上がってきたのでCTを撮ると、肝臓に3cmのガンが見つかりました。手術で十分治る見込みの高い状態です。患者さんはその説明を聞いた上で、「手術をしなかったらどれくらい生きられますか?」と主治医に質問しました。「3年くらいでしょう」と主治医は答えました。それを聞いた患者さんは、「私はあと3年生きられるなら、それでいいです」と言って、手術はしませんでした。その後、経過観察の為に通院し、定期的に検査はされました。

その患者さんは、3年経って突然、紹介状もなく、当院の緩和ケア外来を受診されました。「自分は末期の肝臓がんで、あと3年くらいの命と言われた。もうそろそろだろうと思ってここに来た」と話し出しました。聞くと、当科のホームページを見たら、スーッと逝かしてくれると書いてあったと言います。もちろん、そんなこと書いてないですよ。(笑) でも、本人はそのように理解してしまったようです。(笑)

紹介状がないですから、今までのカルテや検査データなどがありません。本人が几帳面に付けていた血液検査の推移を見ると、腫瘍マーカーの値が徐々に上がってピーク時に6000あったものが、それ以降下がっています。当院で改めて検査したところ、600になっている。CTを撮ったら、3cmの腫瘍が確認されました。3年前と腫瘍の大きさは変わっていません。検査した放射線科の先生からは、「手術したら治る肝臓がんの患者さんを、何で外科ではなく緩和で診てるのですか?」と問い合わせがきたくらいです。

ですから、僕はこの人は自然治癒も可能だと思い、患者さんに「もしかしたら、このまま良くなって、がんが消えちゃうかもしれないですよ」と話しました。それを聞いた患者さんは、「えッ!そりゃ困った!」と困惑顔になりました。「どうしてですか?」と尋ねると、患者さん曰く「私は3年の命と告げられた。だから、この3年間、世界20数ヶ国を巡って、やりたいことはやり尽くした。あとは、スーッと逝くだけ。それで、ここに来たんだ。それなのに、良くなってもらったら困るんだ」という訳です。

気持ちはわからないでもないですが、できない相談でして、とりあえずもうしばらく様子を見ましょうとなだめまして、お帰りになられました。それから1年経たないくらいの頃に、「先生、もうダメだと思います」と本人から電話がかかってきました。まあまあ、勝手に決めないで来院して下さいと、来てもらって検査したら、黄疸が出ていて、マーカーが45,000、腫瘍の大きさは倍以上になっていました。1ヶ月後、お亡くなりになりました。

この患者さんは、代替療法も健康食品も一切やらず、ただひたすら海外旅行をしていただけでした。ですから、心の治癒力が良い意味でも、悪い意味でも、もの凄く体に影響することを教えてもらった患者さんでした。3年と期限を設けて、楽しく充実した日々を送り生き切った達成感があったのでしょう。ところが、僕に「治るかもしれない」と言われた。その人にとって、まだ生きることはストレスになったのだろうと思います。

80代の前立腺がん骨転移の方が緩和に入院されました。腫瘍マーカー(PSA)も3,000なので、まあ、緩和病棟は妥当な選択です。気のいいおじいちゃんで、がんであることは本人には未告知でした。入院して半年が経ちましたが、元気です。僕はあまり余計な検査はしないのですが、半年経ったので血液検査をして、ついでにマーカーも測定しました。1,000くらいに下がっていました。もちろん、無治療です。その当時、同じような前立腺がんの患者さんが他に2人いて、3人とも揃ってマーカーが下がっている。

なんで3人とも下がっているのだろう? あえて言うなら、一つ共通項がありました。3人ともボランティアさんが提供するカラーセラピーを受けていました。簡単に言うと、大人の塗り絵のようなものです。2人のカラーセラピストさんが、2週間毎に来院してセラピーをしてくださる。マーカーが下がった話をしたら、セラピストさんはとても喜びました。カラーセラピーがもたらした心の喜びや達成感でマーカーが下がったという考察を、学会に発表したらしいです。

僕はね、ちがうと思うんです。(笑)なぜかというと、通常その塗り絵は5~10分もあれば終わるのです。おじいちゃんは、毎回のセラピーをすごく楽しみにしていて、セラピストさんとおしゃべりしながら2時間くらいやっている。実はね、そのセラピストさんは女性で、お二人ともすごい美人さんなのです。(笑) いくつになっても人間の本能ですよね。(笑) トキメキ、ウキウキ、ハッピー、感動するのはいいですね。(笑) 音楽、昔の映画、絵画・・・なんでもいいのです。

80代で肝臓がんの男性。手術後、いくつか小さいのが再発し焼灼治療をしました。でもまた十数個できてしまった。もう治療はできないので、他の病院から紹介されて緩和外来に来られました。来院された当初は、再発したことですごく不安そうで、おどおどされていました。今までの僕の経験では、明るい患者さんは良くなる可能性がありますが、不安で気が滅入っている患者さんは難しいというイメージを持っていました。でも、この患者さんと出会い、そのイメージは変わりました。というのは、3ヶ月後に十数個あった再発のがんが消えてしまった。腫瘍マーカーも下がりました。(200→70)治療は何もしていません。それで、その患者さんに元の主治医に、がんが消えたことを報告してくださいと進言しました。そうしたら元の主治医はエコーを見て、「ない。ない。おかしいなぁ・・・ないけども、見えないレベルである」 ないことを認めようとしない。(笑) 医者はね、事実を曲げます。(笑) 医者の常識ではあり得ない、となる。(笑) 結局、その患者さんはそれから4~5年、そのまま経過しました。

それで僕自身も、認識を改めました。人の心は、たんに前向きだとか、不安だとかだけで、良くなる、良くならないが決まるものではない。その患者さんのがんが消えた理由はわかりません。ただ、その人がやっていたことは、毎朝自分独自の呼吸法と病気前からやっていた障害者施設のボランティアです。いろんな研究から、ボランティアが健康に寄与することはわかっています。人の喜ぶ姿を見ることは、ボランティアする人にとってもプラスです。

他にも、反社会的行為を繰り返していながら、がんを患っても元気に生きている人もいました。

今までお話したような、がんの自然寛解の事例から言えることは、絶対的にこれが良い、これが正しい、というものはない。本人がよい、正しいと信じることは自由ですが、客観的にこれが絶対と評価できるものはないということです。

ドイツに渡って、がんの自然治癒を研究した日本人がいます。現地の病院の協力を得て、がんが自然に治ったと思われる人を100人ほど集めました。そしてカルテを精査した結果、そのうちの12人をがんに有効とされる治療をやらずに自然治癒したと認め、聞き取りを行い論文にしました。

「何でがんが消えたと思いますか?」という問いに対する答え。
6人:自分の自然治癒力、免疫力を高めることをやった。ただしやったことは多種多様で、なかにはグレープフルーツジュースを毎日2リットル飲んだという人もいた。
3人:宗教。神に委ねた。
3人:気づき。がんになった原因と思われる生活習慣(食、仕事の仕方など)を変えた。
がんが消えた理由は、バラバラでした。

自然治癒は確率的には少ないので、西洋医学との組み合わせが現実的です。その際、主治医との関係性、相性は大きな要因になります。信頼関係が持てると、心の治癒力は上がります。

他に、心の治癒力が最大限働く要因しては、嬉しい、楽しい、喜び、好き・・・それも特別なことではなく、日常生活で感じられることがいいです。そしてその中に、自分らしさが表れるといいですね。あとは、安心感、信頼感、繋がり、癒される感覚、良い思い込み、良い信念、自発的に取り組む。一方、がまんして、「~ねばならない、~すべき」はストレスになって、自分の首を締めつけることになります。「あるがままの自然体でいましょう」というのを聞いて目指すのはいいですが、「あるがままでいなければならない」「自然体でいなければならない」と囚われてしまったら、意味がありません。(笑)「まぁ、いいか!」も大切です。


(注1)
病院主導の会であり、自然治癒に関心を持った患者さんが主体的、自発的に参加しているわけではないので、本編のような感想が多かったのではないかと推測します。がんやがんを治すことに受け身でいる患者さんが多かったのではないでしょうか。


*黒丸先生の著書






【編集長感想】


黒丸先生との出会いは、先生の初版本『心の治癒力をうまく引きだす』(2004年4月 築地書館)です。

漢方薬局に携わっていた頃で、患者さんとの接し方、カウンセリングの勉強にと手に取ったら、まさに目から鱗が落ちました。(笑)

久しぶりに直接お話を伺え、嬉しかったです。そして、黒丸先生の変わらぬ“在り方”に安心感を覚えました。










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