腫瘍細胞のアポトーシス(自死)再起動を目指す温熱療法
オンコサーミアの講演会(岐阜養老の船戸クリニックにて)
温熱療法というのは紀元前の古代ヒポクラテスの時代からすでに施術されている療法です。ガンに対しては、養生法としての伝統的・民間的な温熱(入浴や温灸等)とガン細胞の死滅を目指す温熱(医療機関によるハイパーサーミア)があります。しかしながら、医療現場でハイパーサーミアに対する評価は必ずしも高いとはいえません。ガン治療のメニューに加えている施設も少ないのが現状です。とくに先端的なガン治療の基幹病院は関心が低いようです。
ひとつにはハイパーサーミアの効果に懐疑的であるということがいえるでしょう。標準治療(3大療)ほどの実績が得られていない。これは“温熱療法”自体の問題ではなく、温熱の仕方に問題があると考えたのが「オンコサーミア(腫瘍温熱療法)」の開発者、サース・アンドラーシュ教授(ハンガリー セント・イシュトバーン大学)です。
サース・アンドラーシュ教授
サース教授の考えは次のようです。
今までのハイパーサーミアは「選択性」がネックになっている。腫瘍細胞・組織とともに正常細胞・組織を同じように温めては十分な治療効果が得られない。ハイパーサーミアは腫瘍部位の温度を42℃にすることを目指した加熱をしている。いうなれば「温度信仰」に基づいた温熱療法である。腫瘍細胞を電磁波で焼き切り壊死(ネクローシス)させると言っていい。
・サース教授が指摘するハイパーサーミアの欠点
①表面冷却によるエネルギーロスが大きい
②腫瘍組織の選択性(集束性)がなければ、エネルギー効率は低い
③集束性に欠ければ腫瘍組織も正常組織も加熱してしまう
一方、オンコサーミアは腫瘍細胞に熱を送り込むことによって、機能を停止している自死(アポトーシス)のメカニズムを再起動させることを目的にしている。そのためにはハイパーサーミアのように組織”をターゲットにしたマクロ的な加熱ではなく、“細胞”をターゲットにしたナノ加熱が求められる。ナノ加熱は次のような原理(腫瘍細胞と正常細胞のちがいを利用)に基づいて実現できる。
①代謝の差異
②誘電率の差異
③細胞結合の差異
→細胞膜の内と外との温度勾配が悪性細胞のアポトーシスプログラムを起動させる
(*オンコサーミアの詳細なメカニズムは物理学や生理学の理論と電子工学技術の理解が必要となるので、関心のある方は下記の書籍を参照ください↓)
サース教授は身内の方のガン体験から次のような哲学を持っています。
「人類の寿命が延び、高齢化が進めば、腫瘍の罹患率は確実に高まる。それを根絶することは不可能である。だから、治療に苦しむことなく、痛みを緩和し、生活の質を維持できるような治療法を確立することが大切である」
温熱療法は欧州でも普及の妨げになっている制度的問題があるようですが、主にドイツで臨床例が集積されています。
◆岐阜の船戸クリニックにオンコサーミアが導入されています
【編集長感想】
健康な状態を保とうとする生体のホメオスタシス(恒常性)に逆らわない治療法ならば、患者さんにとって負担が少なく自然の理にかなっています。ハイパーサーミアがネクローシスでオンコサーミアはアポトーシスと、まだはっきり結論付けることはできないと思いますが、今後の研究や臨床実績に注目していきたい療法の一つだと思います。
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